Netflixオリジナル映画『ケイト』を観て、ハリウッド映画における日本のステレオタイプに思うこと。

メアリー・エリザベス・ウィンステッドが殺し屋役で主演と聞いて以来、とても楽しみにしていた『ケイト』。Netflixで9月10日から配信が開始されたので、早速鑑賞しました。

メアリー・エリザベス・ウィンステッドが演じる殺し屋役が最高だったので、彼女のファンとしては、細かいモヤモヤはチャラになるくらい楽しんだのですが、それでもやはり気になってしまう、ハリウッド映画に出てくる日本のステレオタイプ問題。

ステレオタイプが必ずしも悪というわけではありませんが、諸々の問題をいったん置いておくにしても、やはり日本で暮らす日本人としては、映画に登場する日本の描写がキラキラネオンの世界だと、私は個人的にはあまりポジティブな感想は抱けません。

*この先若干のネタバレを含みます

ハリウッドでのアジア人やアジア系キャラクターが登場する映画ではよく、日本人役に中国系の俳優が起用され、片言の日本語を話していたりといったことが多々ありますが、本作『ケイト』では、浅野忠信や國村隼といった日本の有名俳優が起用されていたのは好印象でした。(その他大勢登場したヤクザたちの役者さんまではわかりませんが…)

一方で、まず気になったのが、本作のメインキャラであり主人公と行動を共にする少女・アニの髪の毛。黒髪をベースに、一部がカラフルに染められていました。

アジア人キャラクターの髪色といえば、先日公開された、アジア人ヒーローが主演のマーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に関連して、ハリウッド映画に登場する強いアジア人女性の髪色が話題になったのはご存知でしょうか。

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に登場する強い女性キャラであるシャーリンは、黒髪ボブの女性です。しかし、当初は黒髪の一部を赤く染めた「強いアジア人女性キャラ」のステレオタイプで、そのステレオタイプをやめるべきだという指摘を機に、VFXで髪色の修正がされていたことが明らかになりました。

強いアジア人女性キャラクターの髪色の問題に関して語られているのが、こちらのティーンヴォーグの記事です。https://www.teenvogue.com/story/asian-women-colorful-hair-trope-problem

ちょうどこのニュースを知ったばかりだったので、アニの第一印象は、「出たよ、ステレオタイプ」でした。見ていくうちにアニというキャラクターと、演じるミク・マルティノ(Miku Martineau)の魅力に惹かれていくのですが、だからこそ、個人的にはステレオタイプではないルックスの設定がよかったなあと思いました。

他にも、もはやハリウッド映画ではお決まりになってしまっている、ネオンキラキラの東京描写。『ワイルド・スピード X3 TOKYO DRIFT』を思い出しました。ワイスピの東京編も、渋谷でカーチェイスしてたので。

そしてヤクザの描写も気になりました。別に私は日本のその道の方に詳しいわけではないですが、侍か何かと混同してないか?と。あの状況で、わざわざ刀出す?武士の戦いは、不意打ちは無しで挨拶をしてから始めるみたいな話を聞いたことがあるけれど、そのイメージで描かれているなと感じました。その一方で、十社会ではない日本で、あれだけ銃が活躍していて…

もちろんフィクションですから、全てが現実的である必要はありません。製作者がネオンキラキラの東京や、武士道が好きで描きたかったのならば、一視聴者に過ぎない私がどうこう言うことでもないのかもしれません。しかし、「ステレオタイプ」はあまりに数が多いから「ステレオタイプ」になるのでしょう。

ここまで、散々ステレオタイプへの文句とも取れることを書き連ねてきましたが、どこかに喧嘩を売りたいわけでも、作品を貶したいわけでもありません。

しかし、残念ながらアメリカでは、アジア人は蔑視の対象であることも、アジア文化が軽視されることも、少なくありません。そのような歴史や現実がある以上、映画の中での描写がステレオタイプばかりであることは、問題があると個人的には思います。確かに映画は現実ではありません。しかし映画には、現実に与える影響力があるのだから。

長くなりましたが、

minority studiesを学んでいる視点からは、色々と思うところはあるものの、一映画ファンとしては、せっかく日本を舞台にしたハリウッド映画が作られるのであれば、ステレオタイプばかりの日本ではなく、リアルな日本描写が広がってくれたら嬉しいな、という気持ちです。

好きな役者さんが自分の国を舞台にした映画に出演することは、嬉しい気持ちもある反面、舞台が日本でなければもっと作品を楽しめたのになという思いもあり、複雑な心境だから。

最後に!

強くてかっこいい女性が活躍する映画が大好きな身として、日本描写のステレオタイプ問題を除けば、とっても最高な映画だったとだけ言わせてください。

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』でハントレスakaクロスボウ・キラーを演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッドの、最新アクション映画です。最高に決まってます。シスターフッドが好きな人にも刺さると思う。

ぜひ観てみてください!Netflixで配信中!